Story
何てことない日常の中にある
美しいなと思う色や心の中の出来事を
小さなガラス玉の世界にうつして
装身具・オブジェ・万華鏡を制作しています。
朝の匂い、雲の影、波の音、
燃える夕陽、渡り鳥の空、のぼる月、
とどまることのない不確かなもの。
A SYMPHONY OF COLORS ~ 紡ぎだされる色たち~
ガラスは太古の人が大切にしていた火がもたらした宝物です。たき火を沈めた後の地面にきらきら輝きをはなち、硬質なのに流れるようなやわらかなフォルムをした物質が残ったものがガラスだったのです。その昔から今まで、膨大な時間、数えきれない季節を重ね、人々の手と、進化する文明とともに、ガラスは静かにゆっくりと生きづいてきました。そんなガラスという素材から、たくさんのイメージとインスピレーションを得て、私のトンボ玉は生まれます。
百色以上の棒ガラスの色の組み合わせから一つのトンボ玉を創り上げていくのですが、色選びとフォルムの形成は、生け花の経験によるところが大きいと感じています。四季折々の草花は、ひとつとして同じ形、体はなく、一本の花を手に取った感覚で、花器の中のみならず、空間を仕立てて行く感覚は、熱により刻一刻と変化していくガラスの色彩と形態を一個のトンボ玉にしていく感覚とどこか似ています。
そうして出来上がったものは、落ち着いたアースカラーや、燃えるような夕陽、熱帯植物のような鮮やかな原色が混ざり合ったような不思議な表情をみせてくれます。
Long ago, glass was cherished as a pyrogenic treasure. Hard in texture yet graceful and fluid in form, it was the glittering substance lying among the embers of ancient bonfires. Quietly and unassumingly, glass has lived on through countless seasons and passed through countless hands, evolving together with the evolution of mankind. This is the material I work with and the source of my inspiration; this is the origin of my tombodama*.
Working with glass rods of over a hundred different colors, I bring various colors together to create each “tombodama.” I think my experience with “ikebana,” or Japanese flower arrangement, plays a large role in the way I select colors and mold them into shape. Flower arrangement is a process of taking flowers and sprigs—each possessing its own unique shape and character—and creating a distinctive arrangement that is in harmony not only with the vase but also with the surrounding space. Taking glass rods and molding them into tombodama is a similar process for me; and the result is a mysterious combination of subtle earth colors, fiery evening-sun colors, and tropical plant-like vivid primary colors, each with its own distinct expression.
A CRYSTALLIZATION OF PAST, PRESENT, AND FUTURE ~ゆらめく時間の集積~
手で触れる事のできないくらい熱く溶けたガラスは、重力にまかせ 常に揺れ動いています。ガラスの動きは色や膨張率、そして気温などにより、その時々で違う変化を見せてくれます。その動きをコン トロールするというよりは、ガラスに無理をさせる事なく、動きに合わせて行く感覚で形創っています。
そのせいか私の蜻蛉玉は、古代からゆっくりと成長を重ねたアンモナイトなどの生物や、鉱物が 堆肥して何十もの層となった地層や化石にどことなく似ているよ うな気がしています。
化石のような、でも透き通っていたり、カラフルだったり。 そして液体とも個体とも言えない楽しいかたち。
そんな私の蜻蛉玉は、身 に付ける人ひとりひとりの個性を際立たせ、また、主張しすぎるこ となく、あらゆる肌や髪の色になじんでくれると思います。そして長い年月を共にしてもらう事で、うつろいやすい人の心や、感覚の変化に合わせ、蜻蛉玉を付け替えたり、組紐やチェーンの素材を新しくしてみたり、一生をとおして親しんでいただける、古代的でありながら、新しいアクセサリーだと感じています。
The glass I work with is fiery-hot and constantly succumbing to the force of gravity. It is in constant movement, its color, expansion coefficient, and temperature determining how it will metamorphose. Rather than controlling this movement, I try not to force my own will on it too much as I mold it into a single shape. This is probably why my tombodama bear a faint resemblance to ammonoids and other life forms embedded within many layers of sediment, fossils that have taken minerals from the earth and slowly evolved into their present form.
Fossil-like, yet transparent and colorful; solid, yet fluid and dynamic in form. When used to adorn the body, its distinctive character brings out the individuality of the wearer; but at the same time, it has a modesty that allows it to blend in with all colors of skin and hair. I see my tombodama as an item that people can build a lasting relationship with, changing the string material or color combination to suit their changing tastes and sensibilities. It has the universality of something ancient, but the distinctiveness of something completely new.
*tombodama: The Japanese word for glass beads produced by melting colored glass around a stainless steel rod. Since “tombo” is the word for “dragonfly” (“dama”: ball), some say that this word derives from its resemblance to the eyes of a dragonfly.
Profile
リチャーズ 華子/ Hanako Richards
神奈川県小田原市生まれ。現在は川崎市在住。
電機メーカーに勤めながら生け花・フラワーアレンジメントを学び、花屋へ転職と同時に見よう見まねでトンボ玉の制作を始める。
1998年より作家活動開始。
独自の技法と世界観でランプワークビーズ/トンボ玉とその装身具を発表。
全国各地の百貨店、ギャラリー等で個展・展示会・ビーズショー出展・委託販売・ワークショップ等の活動。
2021年より自身のランプワークビーズを用いた万華鏡制作開始。
展示歴 : 三越 日本橋本店、高島屋 横浜店、Bunkamura 東急百貨店 本店、東急百貨店 たまプラーザ店、京急百貨店 上大岡店、鶴屋百貨店(熊本)、丸善丸の内本店、丸善日本橋店、ギャラリーSTAGE銀座、ギャラリーニイク(東京 表参道)、ギャラリー自由が丘(東京 )、ギャラリー&サロン迦倶楽(北海道 釧路)、HANSEL & GRETEL 成城本店(東京)、愛媛県総合科学博物館(愛媛)、仙台万華鏡美術館(宮城)、 他多数
第?回JAPANランプワークソサエティ公募展 入選、第19回万華鏡展2021「万華鏡全国公募展」アイデア賞受賞
ある日、近所の小さなガラスショップに展示されていたトンボ玉を目にしたことが、私がトンボ玉制作を始めたきっかけです。自宅の一室を工房にし、見よう見まねで始めました。
ガラスの持つ輝き、色彩、熱による変化。そのどれもが私を魅了していき、麻、絹、ウールといった繊維素材、石、サンゴ、貝、鉱物、また、アンティークパーツやヴィンテージチェーンなど、イメージの広がるままにアクセサリーへと展開しています。
ひとつひとつを丁寧に、年齢や性別を問わず身に着けられるアクセサリー創りを心掛けています。また、さまざまなガラス工芸技法を組み合わせ、オブジェとして日々の生活に寄り添うようなガラスの万華鏡、ネックレスタイプ万華鏡等も制作。オーダーメイドでの制作や、国内外の画家、テキスタイルアーティスト、楽器など、さまざまな分野とのコラボレーションも展開中です。
年に少しだけの展示会、置かせていただいているショップも少しだけ。たまにの野外出展も気まぐれです。いつかどこかでお会いできる日を楽しみにしています。
I’ve been making tombodama* since 1998, after seeing some displayed in a small glass shop in my neighborhood. I was fascinated by the colors and shapes that were possible, and eventually began to incorporate my creations into fashion accessories, using fibers such as hemp, silk, and wool, and adding rocks, coral, shells, minerals and whatever else took my fancy. With each of my creations, I try to produce something that is at once unique and crosses all boundaries of age and gender.